2年続けて相当数の賞を受賞され、審査会でも話題になった“みるきい”さん。
すっかり作品のトリコになってしまったレギュラー審査員の榎本了壱氏が、
2007年夏に待望の対談を実現。ホットパンツのチョイグラ女性。
彼女の素顔に迫りました。
※2007年版では大賞・銀賞・眞鍋かをり賞・榎本了壱賞、2008年版では金賞・銅賞・虻川美穂子賞・萩原朔美賞・榎本了壱賞を受賞。
榎本(以下E)、みるきい(以下M)
E みるきいっていうペンネームはどっから来たの?
M 本名(美紀)です。特に考えていなくて、何にしようかって思ったときにパッと出ただけ。
E 別に不二家とかは関係なくて?
M あっ、全然関係ないです。
E ところでいつ頃から出してるの?
M 作品を送っているのは、まだそんなに。
E 3年ぐらい?
M そうですね.。
E そしたら、いきなり入賞って感じ?
M 最初はひとつだけ載ったんですよ。去年の(2006年版)カレンダーに、ひとつだけ。それで、すごくうれしくて続けてやろうと思って、送り続けました。
E じゃあ、一昨年はたくさん投稿していなかったんだ。
M いや、最初から結構ペースよくしてました。でも、カレンダーの〆切の直前ぐらいだったんですよ、やり始めたのが。
E 数やんないと、なかなかあんなにたくさんは入んないからね。
M そうですね、毎日考えていました。
E ハハハハハハ(爆笑)
M 考えてしまう癖がついてしまって。
E 最初のデビューは2006年からということか。「何を言われてもしたかないですね」。ハハハハ。うまいよね。これが最初か。
M それで1冊だけカレンダーが送られてきて、あ、載ったんだって思って。でも次の年にものすごく送られてきて驚いて。
E いまだかつてないことだよね。去年は4本か。今年は、ごほんといったら龍角散…みたいな(笑)、意味無いけど。毎日考えているって、どういう時間に考えているの?
M いつも。
E ハハハ。頭の中はそれだけ?
M ずっとという訳ではないんですけど、仕事してても、気が抜ける瞬間とかに。思いついたらメモとって。
E あっそう。どんなお仕事をしているの?
M 仕事は普通の事務職です。
E えーっ、(審査員)みんなこの人はぜったいコピーライターかなんかだろうなって言ってたんだよ。
M えっ、何にもやってないです。
E プロじゃないとこんなところまでいかないよねって言うのがみんなの認識なんだけれど。文章書いたり、そんなこともあんまりしない?
M 趣味で、恋愛小説とか書いたことありますけど…。でもホントに趣味程度でまわりの人に読ませるぐらい。
E へー。まあそれは私と近いかな。ハハハハ。
いつも考えているって言ってたけど、そういうモードに頭がなっていないと、冗談とかダジャレとか絶対作れないからね。
M そうですね。最初はしょっちゅう考えていて。でもそのことばかりになっちゃうので、最近はあんまり考えないようにしています。
E 会社の人から、またおまえ考えてるんだろうって言われたりするでしょ。
M これをやってるって知っている人には、「また考えていないで、仕事してよ」って冗談ぽく言われます(笑)。
E ハハハハ。そうか。普通にダジャレとか言葉に発したりする?
M 家族と一緒にいるときはよく出たりしますけど、引かれる。「やめてよ、親父ギャグ」って。言葉にするのと文字とは違いますよね。
E ところで、どこで知ったんですか?
M 会社の人が、私が結構、ネーミングとか、そういうの考えるの好きで応募したいなって言っていたら、『公募ガイド』っていう雑誌を持ってきてくれて、これいろいろ載っているよってもらったんですよ。それで見つけました、御教訓カレンダーを。
E あ、そう。僕の友だちがやってますね『公募ガイド』は。
御教訓カレンダーの中で、すごいなって思う人いますか?
M いますけど、あんまり名前で覚えていない。この人すごいっていうよりは作品がおもしろいなっていう感じで。
E ハハハ、もう私の相手ではないって感じ?
M 結構名前が出ているなって気になった人は、アキラなんとかさん。
E アキラSさんね。常連だね。
自分の作品をメモしたものってずっととったりしている?
M いや、めちゃくちゃなので、投稿したやつは捨てます。ま、捨てるというか、最初はホントにメモ用紙とかに書いていただけで、ぐちゃぐちゃになっちゃってたんで、また送っちゃいけないと思って捨てました。今は、どこでもメモは持ち歩いていて、書き殴って。ホントにすぐに忘れちゃうんですよ。
E 忘れちゃうんだよね。ホントに忘れちゃう。御教訓って瞬間芸だもんね。
M 人の言ったこととか特に…。
E 人の言ったことはすごくヒントになるよね。音で聞いているから。普段本読むとか映画見るとか、テレビ見るとか、好きな番組とかありますか?
M 全然。正直本は読みません。読んでた時期もあるけど、結構ミステリー系が好きで。あれははまりました、鈴木光司さんの「リング」とか。そのあとはホントに本は読んでないですね。映画もやってるのを見るぐらいで。
E じゃあホントにじーっとして御教訓考えているんだ。ハハハハ。飲み屋に行って、話してて浮かんだりってない?
M 飲み屋にはあんまり行かない…。仕事帰ってきたら主婦みたいな感じで、忙しくしてるんで。
E カレンダーの審査員講評なんか読んで、何言ってんだこいつみたいなのある?
M いやーおもしろかったです。
E 糸井さんもリリーさんも評価高かったからね。みるきいさんを弟子にするとか、そういう話もありましたしね。みるきい・フランキーにしようってね。ハハハハ。
M それはすごくうれしかったですね。あー私の事いっぱい載ってるーって。
E 今年も結構話題になってるけどね。
でも、みるきいさんの強いところは時事ネタとかではなくて、日常のなにか、こういう会話や言葉の中で出て来ちゃっているところだよね。
M そうですね。
E みんなオシム・ジャパンが出てきたら、みんなその話題やネタで。「それみんなやってるよ」みたいなのは結構選ばないからね。やっぱり自分のセンスでやんないとだめなんでしょうね。
M でもそういうのしか浮かばないですね。
E それがいいのかもしれないね。
M 身近な会話とか、ドラマの台詞とか。くさい台詞をいったときとか、なんか思い浮かんだり。
E へー。
M 小さいときからそういう癖があって、人の言葉をちがうところで切ってみたらおもしろいなあとか。だから、『公募ガイド』を見て、その年の入選した人の作品が載っていたんですけど、それを見てこれだーっと思って。
E ということは、なんか応募してみようかなっていう気持ちは前からあったわけね?
M そうですね。ネーミングを応募して、採用されましたよ。インターネット本屋さんの犬のキャラクターに名前をって言うので、“本多くん”って名付けました。本が多いで。はじめて送って、ぱっと思いついて出したものだから、びっくりしちゃって。
E 本多くんね。ハハハハ。そういうシンプルなのがいいんだよね、あんまり考えなくて。長持ちしないとダメだからね。
ところで好きな料理は何ですか?
M 料理ですか? トンカツ! 得意です。作ってくれって言われます。
E コツがあるんですか?
M コツですか?
E たたいたり?
M もちろんしますけど、心を込めて作ります。
E ハハハハハ、それは単なるおのろけだろう。
M 衣をつけるという段階も時間をかけて、ゆっくり丁寧に。そして揚げるときも高温でなく、低温でゆっくりと揚げます。私のトンカツのコツはそれです。で、揚げ具合も上手だねって言ってくれて。はい(笑)。
E 料理ができるっていいよね。自分が好きなのは何ですか?
M 食べるのですか? なんだろう。全部好きですけど、洋食かな?
E 洋食(要職)につく。ハハハハ。
M ????
E 御教訓の育ての親ですから、ハハハハハ。御教訓育てて30年。それにしてもこんなにたくさん賞取ってる人って少ないよね。もちろん長期に活躍している人はいるけど、そういう人がしばらく出てこないと心配するんですよ、私たち。体の具合が悪いんじゃないか、とか。
M 私も長くやっていけるようにがんばります。
応募する人は、増えてはいるんですよね。
E 増えていますね。今年は5万越えてますからね。世代交代みたいなのもすこしあるようですし。みるきいさんがいついなくなるか、なんて。ハハハハ
M 消えないようにがんばります。
E 御教訓はいまだにホント、安定した読者がいるんで、またあと30年ぐらいは続くんじゃないかと思うなあ。
近々引っ越しされるんだよね。そしたら、雰囲気が変わるからまた新しい、心境の変化みたいなのが作品に現れるかもね。
M 最近あまり出してないんで、落ち着いたらまた。
E ぜひぜひ、ホントに。懲りないで絶対にやってください。たぶん、みんな投稿している人もみるきいさんはひとつのターゲットというか、この人にどうやって勝てるかって言う気持ちがあると思うんだよね。こんなに賞をとってえーって。そういう人がいて、その人を乗り越えたいと言うことがある方がぜったいに面白いから。ぜひ、羽生名人みたいにがんばって。
でもまず、また大賞取んないとね。20万円と5万円の差は大きいからね。
M 載せていただいただけでもうれしいですけど。
E 結婚されるというので、環境変わるかもしれないですが、ま、ひとつがんばっていただいて。楽しみにしています。ありがとうございました。